
2011年就職ナビから学ぶ
派遣労働者は、アメリカ労働市場のダイナミズムを支えているともいわれるが、正規労働者とは働き方が異なるために、数多くの問題点も指摘されている。
例えば、最近では、民主党のK上院議員らの指示にもとづいて、2000年に議会調査局(GAO)が派遣労働者を含む非典型労働者の収入と付加給付が一般労働者のそれに比べて大幅に低いことを指摘した報告書を公表している。
労働組合もこれに賛同する声明を発表している。
しかし、現在のところ、アメリカには日本の労働者派遣法のような法律はなく、許可制や登録制といった制度も、ごく一部の州でしか採用されていない。
派遣事業それ自体は、市場に舵取りを委ね、派遣労働者の権利保護については、裁判所や労働委員会(NLRB)が労働者一般に適用される法律の解釈・適用を通じてその確保にあたる。
こうした仕組みがとられているのである。
なお、派遣労働者をめぐる議論は、現在、賃金や、付加給付のほか、雇用差別、団体交渉といった分野に集中しており、以下では、これらの分野ごとに検討を行なうこととしたい。
議会調査局は、先に述べた報告書のなかで、派遣労働者をはじめとする非典型労働者と正規労働者とのあいだで、その世帯所得を比較し、非典型労働者の場合には年間所得で1万5000ドルを下回る者の割合が高くなっていると指摘している。
たしかに報告書を読むかぎり、正規労働者の場合、その割合は7.7%であるのに対して、派遣労働者の場合には29.8%と、双方のあいだには大きな開きがみられる。
また、一般にも、派遣労働者の賃金は正規労働者のそれに比べかなり低いとされている。
ただ、このような数値だけを根拠に、派遣労働者の賃金が不当に低いと結論することは早計にすぎる、ともいわれている。
つまり、派遣労働者の場合、学歴やスキルのレベルが一般に低く、このことが賃金格差をもたらしているというのである。
このことはアメリカの労働省も認めるところとなっており、正規労働者と派遣労働者との賃金格差についても、派遣労働者の場合には、学歴が低いことに加え、職業経験が浅く十分な教育訓練を受けていない者(エントリー・レベルの者)が多いことに、その原因を求める声が強い。
たしかに、アメリカでは賃金格差が近年増大する傾向にあり、このことが社会問題ともなっているが、その理由は、派遣労働者が増加したからではなく、高賃金層と低賃金層がともに増加したこと、および学歴による賃金格差が一般にも拡大したことにあると考えられる。
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